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それでも生きている限り日々時間は流れていく。 いい思いをさせてもらった日から二週間、Tシャツを返して一週間、死神の顔ももうおぼろげな記憶の一ページになろうとしている。たった一度会っただけなのだから忘れていくのは仕方ない。 だけど相変わらず俺は、その日の相手の家に寝泊まりすることは出来ないままだった。 Tシャツ返した意味がない…。 「タグー…」 心残りなのはTシャツのタグ。 未だに取っときゃ良かったと思うのだから、いかに自分があの服に執着していたかが分かる。 しかし、だからどうというわけでもないから今日もいつも通り堕落した生活を送っているのだ。 「家こっちからのが近い」 「そっちはやだ」 死神のマンションの近くを通るのが嫌で避ける。 この行動の意味が何なのか分からない。 「遠回りなんだけど…」 ぶつぶつ煩い黙って歩けと、毒づくのは心の中だけ。金がかかっているから。 「だって…一緒に歩きたいから」 こう言えば大抵はそれ以上文句を言わなくなる。 だけど今日の相手はお調子者のようで、そんなことを言ったもんだから手をつなぎ出した。 昼間だからやめてくれ。迷惑だ。 大量の人の声。色んな声が聞こえてくるからやめてほしい。 注目を浴びるのは苦手だ。 なんか、気持ち悪… 視界がかすみはじめた。 その場に座り込むと、今日の相手は早くしろと言わんばかりにつないでいた手を離して今度は腕を引っ張る。 「今無理…」 「演技でしょ?怖いの?なわけないか、君ヤリまくってるもんね」 煩い、頭クラクラするんだ。黙って待ってろ。 「早く立てよ」 (早くやらせろ) 「分かってる」
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