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無理矢理立たされたがどうにもふらつき、男にもたれ掛かる。 「いい加減にしろよ」 そう言われても無理なもんは無理だ。また意識を失ってしまうのではと焦った。 だけどそれだけは避けたい。まだ昼間だ。絶対に病院に連れて行かれるだろうし、当然あの人にも連絡が行く。 そしたら家を出た意味がない。 もたれ掛かる俺を人目も憚らずそのまま引き摺って行こうとする男を恨めしく思う。 揺れるたびに頭がグラグラとする。 もうだめだと思って、自ら目を閉じた。そのとき…。 大量に流れ込む人の声に紛れて近づく、「メンドクセェ」。 安心の低音…。 俺と男を離そうと割って入る体と、匂い。 「離してください。具合悪いの見て分からないですか」 …死神。 「分からないね」 男が易々と引き下がる訳もなく、相手が年下だと分かると、さらに調子に乗り出した。色々と口汚く死神を罵倒しているが、死神は狼狽える様子もなく落ち着いていた。そしてズボンのポケットから出したものを男に見せた。 「是非分かってください。今すぐ電話して確認してもいいですよ」 急にさっきまでの勢いをなくした男は、小走りでその場を立ち去った。 … なんでこんな場面で再会…。 馬鹿なことをやっているのがバレた。しかも相手は男だ…。 こうなったら意識のないフリをしていよう、そう決め込んだ。 すると死神は深い溜め息を吐く。そして次に口にする言葉は、一気に目の覚めるものだった。 「病院連れてくからな。お前痩せすぎ。フラフラすんのも色んなもん足りてない証拠」 病院と聞いてすぐ目を開けた。 「やっぱフリか。ふざけんな、マジめんどくさい…」 それなら放っておけばいいのにと思う。けれど死神は、俺を担いで見たことのある住宅街に向かった。
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