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そうこうしていると、ドアが開けられ死神が入ってきた。
「まだふらつく?気持ち悪い?」
「大丈夫。ありがと」
「なんか作ってくるから寝てて」
(学校は?親いないってほんと?さっきのどう見ても援交…)
死神の心の中は、俺への質問でいっぱいだった。
だけどそれよりも俺にはこっちの方が重要で…。
「ご飯、食べさせてくれるの?」
「待ってて」
あいつのご飯…!やった!まさかまたありつけるとは思わなかったから飛び上がりたくなるほど嬉しかった。
しばらくして、揚げ物を揚げるときの油の忙しい音と、匂いがしてきた。
毛布を被ると死神の匂い…。被らないと食べ物の匂い…。
毛布を被って剥がしてを繰り返した。
「し…あわせ……」
自然と口に出してしまったそれが恥ずかしくて…。
「痒い…」
背中が痒い。…違う。痒いような気がするが正しい。
どれぐらいそんな馬鹿な遊びを楽しんでいたかは分からないが、ちょうど腹の虫が鳴ったとき、死神がご飯を持ってきてくれた。
運ばれる料理を見てやはりそうかと思った。
「唐揚げ…」
「好き?」
「うん。揚げ物久しぶり」
あったかいご飯。唐揚げおいしい…。カボチャの煮物、優しい味。マスカット…なんか可愛い。
死神のご飯、やっぱり好き。
死神が部屋を出たあとあっという間に平らげてしまった。マスカット以外は。
お茶を片手に戻ってきた死神に手を合わせて言った。
「ごちそうさま」
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