1人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、僕に今から魔王を倒しに行けっていうのが本当の大事な話?」
「・・・!ごめんなさい、ユーリ・・・」
「大丈夫だよ、ママ。ママは悪くないよ♪」
悪いのはママじゃない。この痣を持って生まれた、自分のせいなんだから。
「本当にごめんなさい・・・!本当はユーリを行かせたくないのに・・・!」
「ママ、泣かないで。悪いのは魔王なんでしょ?」
本当はそんな事思っていない。悪いのは魔王でもママでもない。
「・・・とりあえず、王様に会いに行きなさい」
「んー・・・分かった、それじゃ行ってきますママ♪」
「・・・無事に帰ってきてね、ユーリ」
無事に帰ってくるよ、絶対。
「失礼しまーす」
「おお、そなたが勇者の痣を持つ・・・」
「はい、ユーリです♪」
「まだ幼いではないか・・・今何歳なのだ?」
・・・僕、やけに小さい子扱いされてる気がする。確かに身長低いけど。
「九歳です」
「九歳・・・七歳位かと思っておったが、やはりそれでも幼い・・・君に人類の存続を担わせるのは少々酷な気もするが・・・」
「大丈夫です」
人類の存続云々より幼く見られた事が頭に残っちゃった・・・
「そ、そうか・・・では少ないがこれを餞別として持って行きなさい」
「ありがとうございます」
お金を貰ったけど、何に使えば良いんだろう・・・
「後一人ではさすがに心細いだろうから、この町のギルドに行って仲間を探しなさい」
「はい、それでは行ってきます♪」
「頼んだぞ、幼き勇者ユーリよ・・・」
仲間か・・・僕、一人で行こうかな。誰かが傷付くのは見たくない。
・・・こうして、僕の勇者としての旅が始まりを告げた。
最初のコメントを投稿しよう!