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「え、えと私はっ」
あたふたと泥棒ではないと否定しようとしている少女に、男性は微笑みかけた。
「ジョーダンですよ、いらっしゃい悩み相談所(breeze house)そよ風の吹く家へ」
「私はここの管理人をしているものです」
そう言って男性がふわりと笑うと、周りの風景に良く似合っていてファッション雑誌の1ページを見ているようだった。
「あ、えっと」
少女が何か言おうとすると。
「分かっています、ここに来たということは何か相談があるんでしょう」
と男性は少女の言葉を遮った。
「…はい」
「よろしければ、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
丁寧な口調で話してくれるので、自然と好印象を与えてくれる。
「あっ木幡陽奈(コハタヒナ)です」
「陽奈さんですね、制服を着ていますが、学校帰りですか?」
「はい、部活休んで、その時間使おうと思って」
陽奈はここへ来たことは誰にも教えたくなかった。
だから友達には気分が悪いから帰ると伝えてきたのである。
「そうですか、では今日はあまりお時間はとらないようにしましょう」
「ありがとうございます」
「頼って頂いたからには、嫌な思いはさせませんから、取り敢えず中にどうぞ」
「……はい」
陽奈は管理人と名乗る男性に促され建物の中に入っていった。
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