第1章◇そよ風

8/69
前へ
/70ページ
次へ
陽奈が2人に顔を向けると、青年の方が陽奈をみて言った。 「よぉ、俺らがあんたの担当になるみたいだな」 「…俺らってことは………2人ですか?」 管理人は確か1人につき担当を1人つけると言っていた。 青年は陽奈の疑問を感じとったようだ。 「ああ、ペアって言うのかな、俺らは」 青年は苦笑いしながら言った。 「へぇ、そうなんですか」陽奈がそう言うと 「いや、一緒にしないでもらえますか」 少年の方は表情を変えずに青年の言葉を何故か否定した。 「なんでだよ」 青年はすかさず言い返した。 「一緒にしてほしくないからに決まってんじゃないですか」 その言葉にさらに少年は言い返した。 「はぁ?半人前が何いってんだよ、問題ばっか起こすくせに」 さらに青年が言い返す。 「それはお互い様ですから」 「なんだと」「なんですか」 そのまま言い合いを始めてしまった。 ―ギャーギャー 「…………」 “仲悪いのかなこの2人、でもケンカするほど仲が良いって言うし…” 完全に置いてきぼりの陽奈はそんなことをのんびりと考えていた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加