歪んだ世界と歪な僕。

12/21
前へ
/34ページ
次へ
「……よし。」 あれから、夜になるまで屋上で悩んだ。 聞くのは怖いけれど覚悟を決めた。 「…よし。」 …覚悟を決めて帰って来たはずが、明かりの点いていない玄関先で30分も立ち続けている。 そろそろ入らないと通報されるかもしれない。 深呼吸をして中へ入る。 「た、ただいま。」 しん、と静まり返った廊下に少し安心する。 靴を脱いで両親がいるであろうリビングへと向かう。 足音をたてないよう、ゆっくりと歩く。 リビングのドア越しに2人の話し声が聞こえる。 「ユキ、遅いわね。」 母の声にドアを開こうとした手が何故か止まる。 「もうこんな時間か。」 暗い廊下でドアを開けようとした姿勢のまま、会話を聞く。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加