2人が本棚に入れています
本棚に追加
―ふわり。
「え?」
視界の端に見覚えのあるものが横切る。
俯いていた顔を上げると、居た。
ふわり、ふわり。
僕の腰ぐらいの身長の、異様に長い髪の少女。
あの世界で会ったときと同じように髪を揺らめかせて。
ふわり、ふわり。
髪と一緒に白いワンピースが揺れる。
あの世界では気づかなかったけれど、裾に桃色の花が刺繍されている。
「ねえ。」
ふわり。
僕の呼び掛けに答えるように揺らめく。
「君は、誰?」
―『僕』は、誰?
君に聞けば答えがわかるような気がする。
「君は、一体誰?」
最初のコメントを投稿しよう!