歪んだ世界と歪な僕。

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―ふわり。 「え?」 視界の端に見覚えのあるものが横切る。 俯いていた顔を上げると、居た。 ふわり、ふわり。 僕の腰ぐらいの身長の、異様に長い髪の少女。 あの世界で会ったときと同じように髪を揺らめかせて。 ふわり、ふわり。 髪と一緒に白いワンピースが揺れる。 あの世界では気づかなかったけれど、裾に桃色の花が刺繍されている。 「ねえ。」 ふわり。 僕の呼び掛けに答えるように揺らめく。 「君は、誰?」 ―『僕』は、誰? 君に聞けば答えがわかるような気がする。 「君は、一体誰?」
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