歪んだ世界と歪な僕。

8/21
前へ
/34ページ
次へ
「……。」 眠い。 夏の焼けるような日差しも、 教室の蒸し風呂のような熱気も眠気を追い払うことはできない。 教室内では、生徒同士が熱く議論している。 黒板に書かれたテーマは、 「クローンについてどう考えるか」。 生命を弄んでいるだとか、 科学技術の進歩だとか意見が出ている。 …眼球から創られた僕が、この事に意見することはどうなんだろうか。 そう思いつつ、目を閉じる。 「意見」という名の人の声が、目を閉じた真っ暗な世界では無価値なモノに思える。 暗い世界にふわり、と気泡が現れる。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加