プロローグ

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先に言っておく。俺の話は決して面白いものではない。 俺にも彼女というものがいた。身長がそこそこあり顔も普通より少し上くらい、寡黙でクールとくれば少しは女にモテてもおかしくはないだろう。 その女とは住んでいる次元が違ったので滅多に意見を交わすことはなかった。 その女はいつも理想ばかり口にしていた。 「ずっとこんな時間が続けばいいね」とか 「いつまでも一緒だよ?」とか 「私今、夢叶のこと考えてたらいきなり現れるからびっくりした!やっぱり私たちって通じ合ってるんだね!」などなど 何故こうも俺をいらいらさせるような言葉を延々と吐くのか。 イライラしかしない。ムカムカもしていたかもしれない。 ちなみに夢叶というのが俺の名前だ。読み方は好きなように呼んでくれ。こんな名前嫌いだ。 子は親を選べない。親も生まれてくる子を選べない。しかし産むか産まないかは選べた。 そしてもちろんのことだが、名前も選べたはずなんだ。この名前のおかげで俺はこんな性格になった。 くだらない。夢なんかただの理想だ。夢に向かって、とか夢のため、とか聞くだけでイライラして余計なこともまで言いたくなってしまう。 そんな俺だから自然と友達は減っていった。
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