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それどころか、科学者が一生かけてでも手に入れたいノーベル賞も、最初はダイナマイトという破壊の道具に始まっている。
そこから『爆発』と呼ばれる現象への研究が進み、爆弾やミサイルが戦場にバラまかれた。
世界は殺し合えば殺し合うほど発展する。
言葉にすれば恐ろしい限りだが、やはり人の本質の1つとしては紛れもない本物なのかもしれない。
アリアナが反論した。
「それはある意味正しいのでしょうが、それぞれの国には過去の歴史的建造物や物品が多々あります。それらをこれから戦火に晒せとでも?」
「あぁ、なるほど。つまり『これまでのモノを無くすのが惜しいから戦うワケにはいかない』という意味ですね?」
「えぇ、歴史を尊重する国柄ですからね。壊される危険だけは避けたいのです」
男性の目は、アリアナの後ろに広がる『帝央會』の作り出したたくさんの裁判所を見ていた。
「女王アリアナ様、アナタは歴史を記録する側の人間ではないでしょう? アナタは女王で、国の政治を動かして今後へと繋ぐ側のハズです」
「……、」
「なら、『歴史を保護』よりも『歴史を積み重ねる』ことに尽力すべきなのです」
「それは否定しません。私だって新たな政策や法律の最終的な認可を任されていますから。……ですが先人の歴史を危険に晒す理由としては不充分というものでしょう?」
「まぁ、そう答えすよね」
男性は苦笑いし、肩を竦めた。
「4国で争いますから、実質勝率は25%が妥当でしょうか? とすると、いずれ壊されるでしょうね。アリアナ様が心配なさるのもムリはないでしょうとも」
「敗けるつもりはありませんがね……」
「取り敢えず、そこら辺も含めて戦争です。勝てば官軍、負ければ賊軍……残った歴史的建造物のほとんどが『官軍』のモノですから、『賊軍』の歴史を尊重するかどうかは『官軍』に任せるのがベストかと」
そこで男性は話を一方的に切り上げ、レターセットの入っていたジュラルミンケースに手を伸ばす。
・・・・・・・
「あぁそれと、ほぼ間違いなくみなさんは拒否権を行使しません」
取り出されたのは、先程とは違う剣だった。
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