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「耳に穴を空けるとは何事だ! 男が空ける穴は女にあるだろ!!」
「かいちょー、言い分は合ってるけどアンタだけは言っちゃダメじゃないですか」
日本。
某県、某市、とある中規模な高校。
そこの校門にて、恐らく気合い全開で夏休みデビューなんてモノを果たした不良男子に、やや間違った睨みを利かせる女子生徒がいた。
外ハネの黒いショートカットに、船頭を横から見たようなつり目、やや上背のある女子生徒が。
「空けたのか? 貴様はちゃんと開通させたのか? どうなんだ?」
「あ゛? ヤッてねーよ。悔しいけど、俺まだ責任取れねーからヤッてねーよ」
「やだ、不良さん優しい……じゃなくて会長! アナタは不純異性交遊を口に出しちゃマズいでしょーが! しかも注意すらしてないし!」
生徒会長、静岡 円香(しずおか まどか)の肩を掴んで引き止めたのは、生徒会会計の大森 司(おおもり つかさ)だった。
青みがかった黒髪に、ややたれ目でありなから眉根にシワを寄せやすい高校1年生だ。
「いいか? 貴様も晴れて不良になったというのなら、ちょっとはワルいこともするべきだろうに」
「た、例えば何だよ……ッ」
「会長、辞任して。もう頼むから辞任して」
「ポイ捨てはしたか? スプレー缶で落書きはしたか? 盗んだバイクで走り出せたか? 他人の背中に『殴って』という貼り紙はしたのか?」
「な、なんてワルいことを思い付きやがる」
「善悪が逆転してる、だと……!?」
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