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とある東の国。
文化レベルでいえば日本の幕末の時代に当たる、刀と身分制度の目立つ国だ。
「んんーまぁ、刺激が無くなってたってのもあるからなぁ。そろそろデカイ花火でも打ち上げたかったんだろ」
「で、ですが天皇!!」
「黙れ左大臣。もう少し右翼的な思考を持つのも必要だろうて」
アゴを撫で、『帝央會』から送られた親書をまじまじと見つめる屈強な身体の中年男性。
丁寧に織られた裃(かみしも)に身を包み、首には刀の鞘などに見られる下緒(さげお)を巻いている。
東の国『イースト』の天皇、五月雨川 源一郎宗助(さみだれがわ げんいちろうそうすけ)は実に野心家だった。
世界統一とはまた違った『世界統治』に興味を抱いているのだが、世界が『帝央會』を必要としている以上、他国への侵略は見送っていた。
彼はオールバックにした、白と黒の縞模様のような髪をイジった。
「やるか、戦争。どうせだから世界を獲っちまおう」
「天皇……御身は非常に愚かです」
「口を慎め、左大臣。元より貴様と天皇陛下とでは気質から合わなかったのだ。これからは右大臣の天花院 右八郎(てんげいん みぎはちろう)こそが懐刀となろう」
「はっはっは、なら俺の腹にでも納まっとくか? これまでの5人みてぇに」
「遠慮しときます。ってかぶっちゃけイヤです」
「非常に素直だ!?」
左大臣ーー天花院 右八郎は、上司に当たる左大臣を追い抜こうとはしなかった。
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