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「おでましか……」
呆れたように源一郎が現れた人物を眺める。
現れたのは、目許を包帯でグルグル巻きにし、首から数珠やらロザリオやらドッグタグなどを下げたスーツ姿の男性だった。
「申し訳ございません。事前に準備はしておいたのですが、なにぶんお渡しするモノが厄介でして」
「渡すモノ……?」
「えぇ、漠然と争うのもアレでしょうか、こちらで解りやすい勝利条件を提示することになりまして」
自己紹介もせず、『帝央會』の構成員らしき男は招くように手を叩く。
入ってきたのは、同じく目を包帯で隠し首からいくつものアクセサリーを下げたスーツ姿の男性。
1人だけならまだしも、それが14人もずかずかと現れては気味が悪かった。
スーツ姿の男性14名(プラス説明係らしき1名)の両手には、ジュラルミンケースが握られていた。
彼らは各国の王に7つずつケースを配ると、礼もせずフロアから出ていく。
「不躾ね……彼らもアナタみたいに口くらいは動かせるんでしょ? なら挨拶くらいするべきでしょうに」
「私もテレスに賛成です。いくらこれまで幾多の裁判を公平に済ませてくれたとしても、挨拶くらい出来るハズです」
まるで躾のなっていない園児にちゃんとした教育を求めるようにテレスとアリアナが残った1人を睨む。
「まぁまぁ、そう仰らずに。取り敢えず分配されたケースについて説明しますので」
2人を宥めると、男性は適当にジュラルミンケースの1つを選んで開けた。
そこから出てきたのは、そこいらの芸術家がどれだけ心血を注いでも作れないであろう美術的価値のありそうな1本の剣だった。
「さて各国の王様・女王様、こちらの剣は世界の魔術の根幹を担う『伝記持ち≪バイオグラフィー≫』とはまた異なる性質を秘めております」
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