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ほう、と息を洩らす源一郎。
「知っての通り、『伝記持ち』は各国の童話・神話・英雄伝をベースに扱われます」
この世界における魔術とは、日本で言うところの『源氏物語』・中国で言うところの『三國志』・イギリスで言うところの『アーサー王伝説』などの物語をベースとする。
例えば、『西遊記』の孫悟空に関する魔術ならば棒状の武器に伸縮させる性質を持たせ、毛髪で分身し、雲を従えて移動するなどの『結果』を求めて魔力を流す。
棒に伸びる『結果』を求めるなら、植物の成長力を加えるということになる。
「過去の物語に精通し、またそれを叶えるだけの力が無ければ魔術は起動しません」
「えぇ、その通りです。魔具は力を得なければ動くこともありません。それはアナタたち『帝央會』とて同じハズです」
「流石は西の女王様。教科書に載せたくなるくらいムダのない高説、大変助かります」
しかし男性はその力を通さず、剣を振るう。
ーーパシンッ、と。
フロアの端に嵌め込まれていた窓に小さな亀裂が走った。
その亀裂は少しずつ元に戻り、やがて何も起こらなかったかのように窓の向こうを曇りなく透かしていた。
……が。
何が起こったのか、その窓が1枚だけこちらに倒れてきたのだ。
しかし窓はどれも欠けていない。
「転換魔術……? 少なくとも他の3国の性質とは違うようね」
「しかし、力の流れ……青い燐光はまったく見受けられませんデシタよ?」
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