プロローグ

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坊ちゃま。 今宵は 貴方様が狩場となさってる あの森のお話をいたしましょう。 鬱蒼と木の生い茂った 森の奥深く。 そこには世にも美しい泉や花々、 そして麗しい『果実』を実らせた、 一本の木があります。 しかしながら坊ちゃま、 その場所に決して近づいてはなりません。 そこには、悪魔がいるのですから。 悪魔は泉の水を飲み、 花々を食しながら、 人間が迷い込むのを いまかいまかと待っているのです。 迷い込んだ人間はどうなるなかって? あっという間に悪魔に心奪われ その言いなりになり── しまいには悪魔に誘惑され、 先程申しました、 大きな木に実る『禁断の果実』に 手を伸ばしてしまうのです。 『禁断の果実』に手を出したが最後、 元の世界へ戻ることは叶いません。 その『果実』はまさに呪いの実。 手を出したものは死ぬまで 悪魔に囚われてしまうのですから。 申し忘れましたが、悪魔にとって最高のご馳走は、 水でも花でもなく、人間の魂。 悪魔に囚われたものは日々、 悪魔に精気を吸い取られ続けるのです。 その命、尽き果てるまで… どうか坊ちゃま、くれぐれもお気をつけあそばせ── .
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