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坊ちゃま。
今宵は
貴方様が狩場となさってる
あの森のお話をいたしましょう。
鬱蒼と木の生い茂った
森の奥深く。
そこには世にも美しい泉や花々、
そして麗しい『果実』を実らせた、
一本の木があります。
しかしながら坊ちゃま、
その場所に決して近づいてはなりません。
そこには、悪魔がいるのですから。
悪魔は泉の水を飲み、
花々を食しながら、
人間が迷い込むのを
いまかいまかと待っているのです。
迷い込んだ人間はどうなるなかって?
あっという間に悪魔に心奪われ
その言いなりになり──
しまいには悪魔に誘惑され、
先程申しました、
大きな木に実る『禁断の果実』に
手を伸ばしてしまうのです。
『禁断の果実』に手を出したが最後、
元の世界へ戻ることは叶いません。
その『果実』はまさに呪いの実。
手を出したものは死ぬまで
悪魔に囚われてしまうのですから。
申し忘れましたが、悪魔にとって最高のご馳走は、
水でも花でもなく、人間の魂。
悪魔に囚われたものは日々、
悪魔に精気を吸い取られ続けるのです。
その命、尽き果てるまで…
どうか坊ちゃま、くれぐれもお気をつけあそばせ──
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