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むかしむかし、あるところに、
ひとりの王子がいました。
容姿端麗なだけでなく、
文武両道に秀でた王子は、
父である王様に負けず劣らずの人気がありました。
ある日の昼下がり、
王子は趣味である狩りに出かけました。
夢中で獲物を追ううちに、
王子は森の奥深くへと迷い混んでしまいました。
パンくずでも撒いてくればよかったのかもしれない──
そんなことを考えた一瞬の隙に、
王子は獲物を見失ってしまいました。
樹海という言葉がふさわしい、
鬱蒼と木の生い茂った森。
辺りを見渡したところで
帰り道がわかるはずもありません。
途方に暮れ、とぼとぼとあてもなく歩く王子の前に、
突然一筋の光がさしました。
出口かもしれません。
望みを得た王子は、光のさす方へと走りました。
木々の間を抜けるたび、
光は少しずつ強くなっていきます。
いったいどれくらい走ったのでしょうか。
王子はようやく光のさし込むもとへと
たどり着きました。
そこには、重なり合うように根をはる木々の間に、
ぽっかりと開いた不思議な穴がありました。
人ひとりがなんとか通れる位の大きさでしたが、
その奥からは
目も眩むほどの明るい光が溢れていました。
眩しすぎて穴の奥を見ることはできません。
この先はどうなっているのでしょうか。
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