二章

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所変わって、ここは郊外練兵所。 兵や騎士達が訓練する練兵所は、勿論城内にもある。だが、範囲が限られているので、大規模な演習なんかはこっちで行われる。 その郊外練兵所には、何故か溢れんばかりの人が居た。 城の騎士や兵は勿論、明らかに冒険者と言った体の者や、寧ろ山賊でも通用しそうな輩まで居る。 …ほぼ全員がボロボロで倒れてるが。 「こりゃあ酷いな…こんな所でやんのか?」 「ええ、寧ろここでやらねばなりませぬ。」 ここでやらなきゃ…? 成る程。勇者が召喚されたこの時期に、郊外練兵所で無数に倒れてる、腕に覚えがありそうな奴ら。 こりゃあマジでちょうど良かったかもな。 「では、参りますぞ!」 そう言って、団長は長大な騎乗槍を取り出した。 持ち柄以外が円錐状になってるそれは、馬上で使う事を目的とされた騎士の専用装備。 見た目に違わず超重量で、その分破壊力もデカい。 「ハ、後悔すんなよ?」 決まり文句を返し、背中に背負った大剣の柄を掴む。 が、まだ抜かない。 右足を半歩下げた状態で、不恰好だがこれが俺の構えだ。
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