戸惑いの隙間

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残された櫛原は一人呟く。 「ははっ、何だよ……バレバレだったんじゃないか」 頭をかきながら腰をあげる。下を向いたまま、情けない自分を嘲笑った。 「迷惑かけてたんだな。かけたくなかったんだけどな」 櫛原は顔を上げる。そして、ルーセラも菅城と同じように部屋を後にする。もう心配は要らないようだ。今の彼の顔を見て、彼女は少し安心していた自分がいる。 そして、菅城黄月に嫉妬しているのかもしれない。ただ傍観していただけの自分とは違い、櫛原の為に動いたのだから。 ルーセラ・キリ・グレイズ。トランプのメンバーで恵まれた才能を持つ名家の娘。それらを有しながら、櫛原の為に何もしなかった。出来なかった。彼女は自分の舵の取り方を分からない。 ここにも悩む人はいるのだった。 ☆ ☆ ☆ その夜、少年はある部屋のドアの前に立っていた。ドアが開き、また別の少年はその少年を迎える。 互いに気まずさと恥ずかしさを秘めながらも、何とか簡単な言葉を口にした。それも二人一緒に。 「ごめん、言い過ぎた」 少しだけ元に戻った気がした。
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