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赤凰学園は夏休みに入ったわけだが、生徒とは違い教師には休みが少ない。具体的には休みは有るのだが、春学期に残った仕事が余っているのだ。
校長の宇鳴要(うなり かなめ)は学園の夏休み中に行われる改修工事についてのまとめられたプリントを整理していた。古くなった施設の欄を険しい表情の宇鳴であるが、ただの改修工事ではここまで考える必要は無い。
改修工事はあくまで表面上の話であって、本来の目的は学園の地下に潜む研究施設の解体作業である。改修工事はそのカモフラージュである。
最近まで行われていた実験ば事実上の凍結。研究チームは解散となり、その後始末も考えればならなければならない。赤凰学園の研究施設で行われた人体実験等の内容が外に漏れるわけにはいかない。
本来なら研究に関わった人の記憶を書き換える予定であったが、一人だけ、この自体をいち早く察知していた研究員がいた。
こちらの処理を終える前にその研究員はどうも『ある団体』に研究施設の存在という情報を売ったらしい。
情報が漏れたところで金銭や圧力によって揉み消せる事は可能だ。それだけの力が何故か学園の理事長は持っている。
『困ってるようじゃのう?』
宇鳴が扱っていたパソコンに一枚のディスプレイが展開される。そこに映る奇妙なクマのアバターが赤凰学園の理事長、アイなのだ。
彼?彼女?、どちらか判別のつかないソレは夏休みの間にも頻繁に宇鳴の所にやって来る。 その理由は、先ほどの研究施設に関わっていた。
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