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まあ、まさかこの後迷う事になるとは流石に思わなかったヨ。
「ふわああ、ここどこなのぉ?」
えええええええっ、
楊鈴は直ぐに周囲を見渡すも、既に彼女がどうやってここまで来たのか知る手がかりはなかった。この少女、夢路来梨に任せっきりだった自分にも落ち目があるのかもしれない。
いや、あるのカ? 仮にもここの学生だロ?何やってんノ?
頼りない少女、夢路来梨は学園の地図らしいディスプレイを展開させるもまだ現在地すら把握できていないようだ。
「鈴ちゃんゴメンなの、もうちょっと待ってるの」
「お、お姉ちゃんだけのせいじゃないヨ」
「お姉ちゃんっ!? うん、“お姉ちゃん”頑張るなの!」
やけに姉の部分を主張してくる。夢路は姉妹に憧れを抱いているのかもしれない、と楊鈴は思った。
大体の位置どりが掴めたらしく、再び二人 は歩き出す。楊鈴はこんな事を聞いてみた。
「夢路お姉ちゃんはこの学校好きカ?」
それとなく聞いてみた。チラリと夢路の表情を伺う。彼女は人差し指を顎の辺りに当てて考えている。
「うーん、好きとか嫌いとかは分からないの」
でもね、と夢路は続ける。
「私みたいな特殊な体質の子を受け入れて、病院での治療だけでなくお金も保障してくれたの。だから頑張ってここを受けたの。そういう子たちを等しく評価してくれてると思うの。
それに、楽しい友達が出来るの。中学では考えられない位の友達が出来たの。
だから、私はこの学校に感謝してるなの。あれ、これは好きになるのかな?」
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