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そうは言っても「鴉」は、この日本では神獣の代表格。特段の「怨み」も「憎しみ」があるワケでもなく…チョイと、からかってやる事にしているだけだ(笑)。
それはともかく、ボクがネコに対して、最も期待するもの…それは「個性」。
そう感じるようになったのは、一匹の子ネコちゃんと出会ってからだ。
あの子との思い出は、かれこれ30年近くも前のこと。
(注∶これを記した当時から、逆算しての数字です)。
高校の夏休みを間近に控えた、ある日の昼下がり。
「エ・エ・エ・エ~ン」
我が家の居間の庭先に、フト現われたのは、手の平に載るほどの小さな子ネコ。
白をメインに、茶と黒がチラホラ。子供だということもあるだろうが、やけに耳の大きな子ネコちゃん。
せっかくやって来た、人なつっこい『招き猫』。さっそく我が家の一員となる。
「エ・エ・エ・エ~ン」
ネコが「ニャ~」と鳴くと思ったら大間違い。絞り出すようなしゃがれ声。
「ピーピー」鳴くので「ピー子」と命名。
いたずら盛りの子ネコのピーちゃん。引っ越ししたてで、まだ小さな庭木に登っては、降りられない。「助けてちょうだい」とピーピー泣くのもご愛嬌。
「ピーちゃん、入らないの?」
帰宅した際に、たまたま母が目撃したそうだけど…昼間は空き家の我が家。近所の家にも気に入られ、ちょくちょく遊びに行っていたようだ。
でも、ピー子の真骨頂は、なんと言っても「ドライブ」が大好きなこと。
「どうしよう?」
みんなで頭を抱え込む。
あの子がやって来た季節は、まさに夏まっ盛り。当時、毎年恒例だった、一家を上げての海水浴が控えていた。
「どうしよう?」
当時はまだ、ペット・ホテルなんて皆無。祖父母の家には、すでにネコがいたし…お願いできそうもない。
「しょうがない!」
けっきょく、車に揺られて2~3時間。泊まりがけの避暑に連れて行く。
「ゴロニャン!」
道中、ピー子はいたって平静。泊まった先の民宿では、「隠せ・隠せ」の大騒ぎだったけど…。
「キャー、かわいい。ウンチしてる~」
あちこちで、黄色い声が上がる。夏の浜辺は、格好の巨大な「うんち箱」。
(あの頃は、今みたいにペット用品も充実しておらず、「トイレに流せる紙の砂」なんて無かった)。
海水浴客でごった返すそこ・ここで、砂浜に穴を掘ってはウンチやオシッコ。
(しかし、ネコとは不思議なもの。誰が教えたわけでもないのに、ちゃんと穴を掘っては用を済まし…「縄張り」意識の強い犬とは正反対…これも、やはり「狩人」の本能なのか? 自分の存在を隠すための「臭い消し」に、砂までかける)。
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