アリスごっこ

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わたしはまず公園に逃げた この公園はそこそこ広い 森林も花壇も多いので、自然公園というやつだろう ここはセオリー通りに兎の穴へ堕ちるべきか? 自由のきかない手で手袋をはめながら考える 「シロウサギさん、何処へ行くのー?」 軽快な声と共にアリス――もといご主人様が近付いてくる 家を出る前に着替えたのかお気に入りの白いロリータを…… 「ご主人様」 「なぁに?」 「血がついています」 顔に服に足元に歩いてきた道に 「だってママが煩かったんだもん」 ああ、ついにお母様まで首コレクションの仲間いりですか それより私は首を狩られないよう気を付けなければ 「さぁ、アリスごっこをしましょ」 無邪気な笑みに騙されてはいけない 首狩りアリスが追ってくる 地獄の果てまで追ってくる これは夢でも幻でもない現の世界 だからアリスが飽きるまで わたしは逃げて逃げて逃げて――――
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