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……… *
薄ピンクの桜吹雪、あたり一面に花びらが舞っている
街路樹の綺麗な桜の木と並行して、多くの店が立ち並んでいる
その間の歩道を足早に通り抜けて行く
( 急がなくちゃ … )
遅れたら、またねちっこく嫌味を言われる、ウンザリだ
そう思いながら、ふと、耳に届いた声
『 イヤッ、放してっ!』
そちらに目をやると、店と店の間のパーキングスペースに、見るからのチャラ男君3人が、2人連れの女の子に絡んでる様子が窺えた
誰もが、チラ、と見て直ぐ目を逸らし ( 面倒事はごめんだ ) とばかり、足早に通り過ぎて往く
舞い落ちる花びらを見るともなしにぼんやりと見上げる
( どうしようか … )
『 ヒイッ 』と小さな悲鳴に、ハッとする
女の子の腕を掴み、無理やり連れて行こうとする男の姿を見た瞬間、体が動いた
その間に体を割り込ませ、腕を掴まれた彼女を背に、男と対峙する
突然現れたボクに、ポカンとするのも構わず、男の腕を叩き落とし掴まれていた彼女の腕を自由にした
「 早く行って 」
と声をかけたけど、彼女達は、不安そうにこちらを見ていて動かない
「 大丈夫、早く行って 」
再度言うと、小さく頭を下げ、ボクを気にしながらも、走って逃げて行った
( フ、良かった )
振り返ると、我に返った男達が ……
チャラ男君その1
『 何々、お友達? 』
( イイエ、初対面ですが)
チャラ男その君2
『ってぇこたぁ、ぁんだぁ、あんた代わりに遊んでくれんだ? 』
( イヤイヤ、遠慮させていただきます )
チャラ男君その1
『 へぇ、良く見りゃ、カワイーじゃん 』
ジトっと品定めされる
( … 気持ちワル!)
どうやら、ロックオンされたらしい、って、なんてベタな展開なんだよ
チャラ男君その3
『 格好がそんなで? 野郎かと思ったけど? … よく見りゃ案外綺麗だし?モデル系?イイじゃん? 』
ぅわっ、なぜに総て疑問形なの???
てか、何だコイツら
(ボク …… 女に見えるんだ?)
普段からボーイッシュな格好で、中性的な顔立ちだと言われるボクは、大抵は男だと思われるが、女だと気付かれる事はごく稀だ
『 んじゃ、付き合って?楽しもう♪ 』
と、手を伸ばしてきた、が、一歩早く飛び退って男と距離をとり、思案する
「 ったく、急いでるっつーのに … 」
とにかく今は時間が無い
( う~ん、どっちが早い?) チラっとチャラ男君1~3を観察する
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