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『 はっ、はっ、はぁ 』
息を切らし、閉まった門の前に立ち、中の様子を窺う
人影は、見当たらない『ふぅ』と小さく息を吐き、軽く勢いをつけ地面を蹴って飛び上がった
高さ１３０cmの門の上に両手を着き、両足を横に揃えて飛び越えて『スト』っと綺麗に着地した
「 っし 」 心で軽くガッツポーズ
安堵し玄関へと足を一歩踏み出したところで、トン、トン、と、軽く肩を叩かれた
ギクゥ、と、縮みあがった
『 今日はどうしたのかなぁ、何かトラブルでも？ 』頭上からの、とても優しい声音に
( ヒィヤァァァァ ) グ、グ、グ、と首だけで振り返ると、何もかも見通す様なあの鋭い眼差しが目の端に入る
カキン …… 液体窒素で冷凍された薔薇の様、心は瞬時に固り、パラパラとくだけ散る
放心し固まっているボクの頭を、彼は片手で鷲掴み顔を前へ向けさせ
『 まぁ、いいから入りなさい 』と、背中に両手を当てて動かないボクの体を強引に押し進めた
玄関を前に拒否反応か、無意識に逃れようと体が後退るが、ボクの耳元に息が掛かり硬直する
『 わかってると思うけど、無駄な抵抗はやめなさい、ね 』
肩を落とし、色々と諦めた
玄関から続く長い廊下を無言で奥へと進むと、突き当たりにあるドアの上方に【 寮監室 ＊ 劉〔MIZUKI〕】と記されたプレートが掲げられている、その部屋へと入る
壁一面の書棚を背に趣のある木造りの机があり、来客の対応・学生の管理など、執務を此処で行っている
その横に目を向けると、奥にはドアがありそこにはプライベートルームが設けてある
ボク、櫻城 凛 [サクラギ リン] (17歳・♀・高２) が、現在在籍している全寮制の白櫻東 [ハクオウヒガシ] 学園
彼、劉 悠一 [ミズキ ユウイチ] (25歳・♂・独身・医師免許保持) は、この学園で学生寮の管理を任され、寮監をしている
イギリスで生まれ育った、ミズキの本名は、yuichi・M・Ａｓｈｅｒ [アッシャー] という
日本人の父とイギリス人の母 (伯爵だかなんだかの家系) のハーフで、配合が大成功した例であろう
端正な顔立ちは、明るいハニーブラウンに軽くウェーブのかかった長髪も伴って、初見では男女の判別に惑う程だ
眉目秀麗に加え、長身でスマートかつモデル並な体型とくれば、やはり目立つだろうし周りもほっておかないらしく
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