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老若男女問わず (最も学園の生徒が多いのだけれど) そんな彼にアタックしては玉砕していく者が絶えないと聞く
が、それはボクには全く理解不可能な事だ
かつて ”流氷の天使”とうたわれブームになったクリオネ、翼足でスイスイと浮遊生活をしている様はとてもカワイイ
しかーし、お食事姿は一変、”カッ”と頭部が大きく割れ、6本の触手が伸びて獲物をガバっと捕食する肉食系、まるでエイリアンさながら、ドン引きだ
と、喩えられるのが、入寮してから何かと遊ばれっぱなしの、ボク視点のミズキだ
そんなミズキは、ボクを悩ませている案件の、候補の内の1人である
入口辺りで、顔を上げられずに暫く俯いていると、彼の突き刺さる様な視線を感じた
圧迫に耐えきれず恐る恐る上目遣いで伺うと、『っう』すぐ眼前に彼の綺麗に整った顔が不意に現れて息が詰まる
『 クスッ 』と小さく笑った彼に手を引かれ、何故だか奥ののドアをくぐりプライベートルームへ連れて行かれ
ソファの前まで来ると( 掛けなさい )と目で促される
ガラステーブルを囲むように、両脇に一人掛け2脚が並べられ、その間にいわゆるソファベッドが一台、その場所に仕方なく腰かける
熟睡できそうな、ゆったりフカフカと最高級なこの代物だが、針のムシロと化している今、なにやらお尻がピリピリと座りが悪い
もしかして恐怖のあまり、脳内ムシロの ”針” が具現化されたのか?
そんなアビリティがボクに!? それなら、今すぐ何か出して ……
” コショウを振り撒く ”ってぇ、自分もダメージありそうだ
” 苦手な蛇を投げつけてやる ” とか、” 発煙筒で目くらましして逃げる ”
…… と、くだらない妄想に突入しかけた時
『 ギシ 』と軋み、ボクの右隣に彼が腰かけた事に気付き、現実逃避から引き戻された
組んだ長い足に右肘を着き頬杖をついて、空いた左手を、俯くボクの顔へとやる
その細く長い綺麗な指先を顎にスっと添え、少し力を入れて自分の方へと顔を向けさせると、彼の瞳がボクを捉える
この今の状況は、知らない人にはきっと、胸キュンで、ドキワクで、甘ーいそれ的なシーンに映るんだろう
妖艶とでも言うのだろうか、その微笑にヤられる輩は多い、らしい
が、しかしだ、ドキドキはするが、ガクガクもするし、ビクビクにもなっているボクは、悪代官に囚われた小娘の心地だ
『 ねぇ、リン 』首を傾げて、優しげに見つめてくるミズキ
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