プロローグ

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『ねぇ、ママ。いつか私もこの絵本みたいなかっこいい王子様と出会えるかな?』 幸せそうに笑っているお姫様と王子様が描かれた絵本を持った子供の頃の私が、きらきらと目を輝かせながら問いかける。隣に座っていた今より少し若いお母さんは、私の頭を撫でながら微笑んだ。 『うん。もちろんよ。由衣もいつか、素敵な王子様と出会えるわよ』 また絵本の中のお姫様と王子様に視線を戻しながら、満面の笑みを浮かべる私。 懐かしい子供の頃の夢。 あの日から私はずっと待ち続けている。 絵本の中のあの人みたいなかっこいい王子様と、ドキドキするような運命の出会いが訪れることを…。 そして月日は流れ16歳、高校2年生の夏。長年待ち続けた運命のその日が、ついに訪れようとしていた。
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