1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「……」
今僕の頭の中には、どれほどの思考が巡ったのだろう。
僕の人生は他の人に比べたら、よっぽど波乱万丈だと自信を持って言えるが、ここまで理解を超えた現象は初めてだった。
まず目が覚めて知らない部屋だったのも初めてだし、本という本にここまで侵食された部屋も初めてだった。
床が見えないってどういうことだ。
別に雑然と床に捨て置いてあるならまだわかるが、部屋の端から綺麗に本が敷き詰めてある光景には言葉を失った。
謂わば、本の床だ。
几帳面なのだろうけど、バカなのかもしれない。
早々に本の床は見飽きて、この現状について考えてみる。
まず、拉致もしくは、少なくとも自分の部屋からの移動はしたと思う。
こんな部屋は見覚えがないし、自分で移動した記憶もない。
だが、ここで矛盾というか、不思議なことがある。
拉致もしくは、他人に移動させられていたとしても、この部屋はあり得ない。
この部屋には扉がないんだ。
というか、そうなると僕がこの部屋に居ること自体おかしくなる。
どうやって入ったんだ?
最初のコメントを投稿しよう!