prologue【真冬の出逢い】

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そんなことを考えながら歩くこと数分。 「あ……」 空から幾つもの白い結晶が、ゆっくりと舞い降りてきた。 珍しいな。 この地域に雪が降るのは、毎年決まって1月が過ぎてからなんだけど……。 ホワイトクリスマスが実現するとは、ますますカップルが恨めしい。 ……いや、そういう嫉妬に満ちた考えはよそう。幸せなカップルが、空からのクリスマスプレゼントでますます幸せになる。 いいことじゃないか、うん。 「寒っ」 色んな意味で。 ……前言撤回しようかな。 やがてリア充通りから家の中間地点に差しかかる。 リア充通りとまではいかないが、ここもカップルがちらほら確認できる。 「……ん?」 そんな時だった。 何気なく視線を向けた店と店の間の通路から、人の声が聞こえてきた……気がした。 思わず足を止めて、耳を傾けてみる。
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