Stage27

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祐一の板金屋 「ちわっ!集荷に来ました!」 一輝が荷物の集荷に来た。 「おっ!一輝!今日は、平気だ。 それより、聞いたか?」 「何を?」 「あっ!晃も車を降りたんだとよ!Zも売却したらしいぞ」 「晃が?自分で売ったのか?珍しいな、いつもなら祐一に頼みに来るのにな」 「なんでも、前の事務所の若いのに売ったらしいぞ」 「晃も、潮時って事か、、、」 「潮時?」 「嫌ね、俺が居たスタンドも来月で閉店らしいんだ、今、ニュースとかでやってる、アレだよ」 「一輝は、降りないのか?」 「どうかな?俺も晃みたいに突然だろうな」 「ところで一輝、今度、工場を引っ越すかも知れないんだ、今、晃に探して貰っているんだ」 「確かに、ここも狭くなって来たよな」 「それもだが、ココ借り物だからいっそ家と工場を同じ場所にと思い、良い場所があれば買うつもりなんだ」 「そうだよな、家賃払ってるんなら買うのも良いかもな」 「だろ!しかし一輝は、ずっとトラックに乗ってる気か?」 「まぁ、気楽だからな」 「そんなもんか?」 その夜、仕事帰りに晃に会った 「よっ!晃、お疲れ!」 「お疲れ!早速、来たな」 「Zを売ったんだって?」 「あぁ、もう良いかなって思いだしてよ」 「潮時って事か」 「そうだね!昔、やり残した事は出来た気がしたんだよ。もう降りても悔いはないよ。 一輝くんは、ずっと乗り続けるんじゃないか?俺、そんな気がするよ」 「どうかな?あまり考えた事ないな」 「なんてのかな?一輝くんは、俺や祐一とは違うんだよ、プライドの中でも一輝くんだけは別格だったし、一輝くんは、いつも真剣に走る事を考えていた。 それって凄い事だぜ!」 「俺は、何も考えてなんかないよ、ただ好きなだけさ」 一輝は、笑った 「それが凄いんだよ、車が好きのは皆、同じなのに、その中から飛び抜けられるんだから」 「あんまり、難しく考えない事にするよ、走るのに飽きたら降りるさ」 そして、一輝にも決断の時が迫って来ているのであった。
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