水と月

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空をみるのがなんだか怖くて、水面に広がる世界だけを、ただただみていた。 月が突然ポーッンと、水中から飛び出して、空に還っていく。そんな気がしてならなかったから。 そんな不可思議な現象は起こることもなく、風が止み、水面が揺らめきを失う。 平たく広がる湖面は、鏡のように、映り込む全ての物を綺麗に反転させていた。 そしてようやくそこで “僕”は“ルナ”に気づく。 あの時の心に広がる煌めき。 一気に全身へ駆け巡る衝動。 今なお 色褪せず恋に落ちたまま。
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