嫉妬

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 智君は意外とモテていた。  外見がかっこいいわけじゃなく、ただ誰にでも優しいのだ。  それを誤解している女の子達もいた。  転校してきていない間のことを知らない私は、軽く反感をかっていた。  一番ひどかったのは、私がいない間に転校してきた『いづみ』だった。  私と付き合っていることを知っているのに、周りに「私って彼女がいるのに横恋慕してきたの。」と『いづみ』は言いふらかしていた。    男友達も多い私のことを『ヤリマン』と、陰口を叩いていることを知るのもそう遅くななかった。  それでも知らないふりをして過ごした。  陰口を叩いていることを知らなかった頃から、『いづみ』と『典子』3人で一緒に登校していたので、知ったからといって相手にしなければいいだけだと思った私は、気づいてないふりをして、一緒に登校していた。  2年のある日、『典子』から突然、言われた言葉にびっくりした。  「私が好きな人のこと、好きなんでしょ!!昼休みいつも見ているでしょ!!それに『いづみ』は小5の頃から、智君のことが好きなのに、あとから出てきて横槍入れるってどういうこと!!」  「『典子』の好きな人って誰?私知らないけど?」  「『和義君』よ。昼休みサッカーしてるの見てるでしょ!!」  私には、はっきり言って好みじゃない相手だし、昼休み見てるのも、違う相手だし・・・  それに『横槍』ってなによ?『いづみ』の妄想だし。  「明日から一緒に行きたくないから!!」 と一方的に言われてしまった。    『いづみ』は私と智君が付き合っていることを知っているのに、バレンタインの時にチョコ渡してたの知ってるけど、相手にしてなかっただけ。  次の日から、3人で登校していたのが、私一人で登校するようになった。  それを知った智君が、知った翌日から一緒に登校するようになったから、私的には嬉しかったけどね。  『いづみ』からの嫉妬や、男友達の中の子を好きな女の子からの嫉妬はすざまじかった。  この時『愛奈』が、女の子達からの誤解を解いてくれなかったら、エスカレートしていってたと思う。  定番の無視、すれ違いざまの暴言、後に残らないような精神的な嫉妬が、中2の冬から中3の梅雨前まで続いていた。  イジメというよりも、嫉妬に狂った鬼のようだった。
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