嫉妬

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 自転車通学だったので、梅雨時はすごく憂鬱で、それによく自転車置き場が水没していた。  つまり、靴と靴下を犠牲にしながら、自転車を取りに行かなければならなかった。  この日も例外なく、水没した自転車置き場と、その中にある私の自転車・・・。  (靴と靴下も濡れてしまうなぁ~)と、呆然としていたら、いつの間に来たのか、隣りに智君がいて 「そこにいて。」一言だけ言うと、水没した自転車をとってきてくれた。(もちろん、智君のも水没してたけど・・・)  間の悪いことに、『いづみ達』も来ていて、「私の自転車も・・・」と言い出したが、全部言い終わる前に遮断された。  「正美のだけだよ。君のは自分で取りに行けばいいじゃないか。俺は君の彼氏じゃないからね。」そう宣言した。  周りがざわつきだしたが、智君は私を促すように、自転車を押して歩き出した。  すれ違いざまに見た『いづみ』の顔は、蒼白していた。  散々今まで、「自称『智君の彼女』」と周りに言いふらかしていたから・・・  このことを境に、他の女子から何も言われなくなった。  ただひとりを除いて・・・  
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