第一章 模倣

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第一章 模倣

―翌朝、体育用具室で発見された首吊り死体の捜査の為に警察が現場検証に来ていた。 「まだ中学生なのに自殺なんてなぁ、やるせないねぇ…」と白髪の年配刑事がボソッと呟いた。 「そうですね。現場の状況から見て自殺で間違いないでしょう。争ったような痕は見当たりませんし。」と若いほうの刑事が返事を返した。その傍らでは鑑識課の捜査員が現場検証をしている。 「若林さん、少年の物と思われる携帯電話が落ちていたのですが。」と鑑識官の一人が年配刑事に向けて言い、携帯電話を手渡した。年配の刑事は受け取ったが使い方がわからないらしく若いほうの刑事に 「佐藤、ちょっと見てくれや。どうにも最近の携帯機器は難しくてわからん。」と渋い顔をしながら佐藤と呼ばれた刑事に携帯を渡した。佐藤刑事は苦笑いを浮かべながら受け取った携帯を調べだした。 「メールが届いてますね。送り主は『神様』となっています。本文には命令を聞けない者には罰をとあります。もしかしたらこの自殺が罰ということなのでしょうか?」と若林に意見を求めた。
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