1 死にゆく乙女の小夜曲

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少しずつ、弱くなっていくマスターの声。 少しずつ、弱くなっていくマスターの生体反応。 「リュン……。私も、です……。私も、リュンを……リュンを愛しています。処分されるはずだった私を拾い上げてくれたあの時からずっとです」 「……うん」 マスターは、もうもたない。 この事実は絶対に変えられません。 だから、これはきっと私からマスターへの最後の贈り物になるでしょう。 「……。リュン、私は世界で一番幸せな〝機械人形〟です。あなたをマスターに持って、あなたに愛され、あなたを愛することが出来たのですから。きっと、この世界に私より幸せな機械人形はいないでしょうね」 私は、マスターに微笑みかけました。 「愛しています、リュン……」 そして、私はマスターに、リュンに口付けました。 いくらねだられてもしなかったキスを今にも旅立って逝こうとするリュンに贈りました。 「……ファースト、キス……だ……」 ただ触れるだけのキス。 それでも、リュンは幸せそうにそう言ったのです。 「あた……しは、世界で、一番……しあ……わせな、お姫様……だ、ね……。大、好きな……王子……様の、腕のな、かで……死ねるん、だか、ら……」
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