1 死にゆく乙女の小夜曲

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しばらくして、エト様は涙を拭われながら言いました。 「シエルが、リュンを看取ってくれたのかい……?」 「はい……。私が、リュンを、看取らせていただきました……」 つい、リュンと言ってしまった私の返事を聞いてエト様はとても驚かれた様子で尋ねられました。 「シエル……? リュンを、リュンと呼べるのかい?」 「……!申し訳ございません……」 機械人形ごときが、マスターを呼び捨てたことを咎められたのだと、私は思いましたがそうではありませんでした。 エト様のとられた行動に私はあっけにとられてしまいました。 エト様は、私を抱きしめられたのです。 「あぁ……シエル。これは、奇跡だ……。お前はもう機械人形なんかじゃないよ。人間だ。機械人形は絶対に、マスターを呼び捨てになど出来ないんだ。お前は、人間として、リュンを送り出したんだ……。ありがとう……。リュンを、妻のように一人寂しく逝かせないでくれて……。本当に、ありがとう……」 そう言って、エト様はまた泣き出されました。
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