Ⅰ、初めての……

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……ふざけるな!!! 久々に、実に久々に 怒りという感情が 胸の裡から沸々と沸き出してきた。 何故僕がAのような愚物のクソ下らない面子を保つ為に 生け贄にならなければならないのだ? 何よりムカっ腹が立ったのは 状況に流されて己の主義を曲げようとしてしまった 自負自身に対してだ。 たとえどのような苦境に陥ろうとも 自分を曲げてしまったら それはもう僕ではなくなってしまう。 変化の無い平穏な日常を守る為にも リレーのアンカーなどという最悪な役に付く事など どんな手段をもちいても 阻止しなくてはならない。 その為には何としても Aを黙らせなければ…… タイムリミットは明後日のロングホームルーム。 その前に今朝の事を誰かに喋られたりしたら…… だがヤツ自身も言っていた通り 普段から僕は目立たない影のような存在だ。 それに選手変更はAにとっては 既に決定事項になっているものと思われる。 ならばその可能性はかなり低いだろう。 不安は残るが無視してもかまわないと思う。 (現在から考えると かなり危険な綱渡りだった。 だが当時11歳の僕にそこまでの思慮遠望は望むべくもない)
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