Ⅱ、路傍の石

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その日もいつも通り 夜中の九時まで塾で無駄な時間を費やした。 当然ながら辺りはすっかり暗くなってしまい 人影も片手で数えられるくらいしか見受けられない。 ここから僕の自宅までは 徒歩だと三十分ほど懸かる。 バスを利用すればものの十分で帰ることができるのだが 僕は頑ななくらい歩いて帰る事に固執していた。 別に歩くことが好きなワケでも バス代を浮かしているワケでもない。 二年前の経験から コチラがどれだけ注意していても 災難の方から近づいてくる場合もあるという事を 学習したからに他ならない。 バスには僕と同じ方向へ帰る生徒が多数乗っている。 できるだけ彼等と関わらない為には 歩いて帰る以外に方法がないのだ。 まぁ、慣れてしまえば 徒歩三十分の道程など別にどうという事もない。
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