6人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
その日もいつも通り
夜中の九時まで塾で無駄な時間を費やした。
当然ながら辺りはすっかり暗くなってしまい
人影も片手で数えられるくらいしか見受けられない。
ここから僕の自宅までは
徒歩だと三十分ほど懸かる。
バスを利用すればものの十分で帰ることができるのだが
僕は頑ななくらい歩いて帰る事に固執していた。
別に歩くことが好きなワケでも
バス代を浮かしているワケでもない。
二年前の経験から
コチラがどれだけ注意していても
災難の方から近づいてくる場合もあるという事を
学習したからに他ならない。
バスには僕と同じ方向へ帰る生徒が多数乗っている。
できるだけ彼等と関わらない為には
歩いて帰る以外に方法がないのだ。
まぁ、慣れてしまえば
徒歩三十分の道程など別にどうという事もない。
最初のコメントを投稿しよう!