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(危なかった……)
走り去るフェラーリ(車には全く興味がないので、詳しい車種までは解らない)の後ろ姿を
僕は冷たい視線で見送った。
(あれが噂に聞くバカ大学生か……)
実際に会った事はないのだが
この界隈にある高級マンションに
かなり評判の悪い学生が住んでいるらしい。
ろくに大学にも行かず
親の金で毎日遊び呆けていて
近隣の住民がかなり迷惑しているらしいという話を
同じ塾の友人(そう思っているのは相手の方だけだが)から
よく聞かされていた。
自由と無法の区別もつかない
生ゴミほどの価値もない愚物だ。
(生ゴミの方が肥料に使える分、まだ利用価値がある)
植物のように、目立たず淡々と毎日を送りたい僕とは
丁度対極にいるような存在で
できるなら一生関わりあいたくない。
さっきのニアミスは
忘れてしまう方が懸命だろう。
僕は何事もなかったように
再び家路への歩みに戻った。
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