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さすがにこの時間帯では
通学路にも登校中の
生徒の姿はない。
それを幸いと
僕は久しぶりに
(もしかしたら初めてかもしれない)
全力で駆け出した。
ただ、生徒の姿はなくとも
近所の大人達の姿はある。
普段存在感が希薄な子供である僕が
人が違ったように駆け抜ける姿は
彼らの注意を引いてしまったかもしれない。
不安と云うよりは
むしろ恐怖を覚えながらも
僕は走り続けるしかなかった。
(最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ……)
せめてこの事が
僕を知る者達にはバレませんようにと
信じてもいない神に
祈りながら
(同時に呪いながら)
学校への道をひた走る。
やがて前方に
生徒達の姿が数名
ポツポツと確認できるくらいの所まで
来ることができた。
時間の確認はできないけれど
彼らの様子からだと
最低でも遅刻する事だけは
避けられたようだと判断し
僕は走る事を止め
残りの距離をいつもよりもやや早足で
(これだけでもかなり不愉快になった)
登校した。
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