Ⅰ、初めての……

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教室に入ったのは 始業五分前。 ほとんどのクラスメイトは 僕の事などに注意を向けたりは しなかったが、 それでも四、五名の生徒は いつもならとっくに席についていて 一限目の授業の準備を終えているはずの僕が こんな時間に登校してきた事に 珍しげな視線を送っている。 その好奇の目が 僕には何よりも苦痛だった。 やがて始業ギリギリに 数人の生徒が教室に飛び込んできたと同時に いつものように 間延びしたチャイムの音と共に 担任教師が入ってきた。
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