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8月10日 PM2:30
波の音がジジジと乱れる。太陽の日射しが強くなり、まばゆく砂浜に反射して視界が白にそまってゆく。
やがて光はすべての世界もひとの影も飲みこんで、あたりは真っ白な光に覆われてしまった。
白、天井、頭上を照らしているのは太陽ではなくて丸い蛍光灯の光ーー
「‥‥さん、佐々木彩香(ササキアヤカ)さん」
名前を呼ばれてここが病院だったことに気づく。
「わかりますか?今日は何年何月何日ですか?」
「‥にせん‥じゅうにねんはちがつとおか」
「お年はおいくつですか?」
「さんじゅうに(32)…さい」
喉のおくに管が入れられているせいか、声が出しづらい。
「終わりましたよ!ここはどこかわかりますか?」
「南町田の‥東野びょういんです
‥」
目が覚めたら意識の確認のために麻酔医が簡単な質問をするといっていた。ということは手術がおわったのだ。
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