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わたしはそっと左の頬に手を触れた。
そけには引きつりも痙攣も、勝手に目が閉じてしまったり口元が歪むこともない、もとどおりの自分の顔があった。
わたしはついに病気に打ち勝って、自分の顔を取りもどしたのだーー
できる、これからもまたやっていける。
真理亜とふたりで、真理亜の成長を見守り、いない父親のかわりに真理亜のためにお金をかせぎ養って、これからも何も変わらずに生きてゆけるーー
そう安堵した瞬間、意識はもうろうとしてぐにゃりと視界が歪み、もういちど遠い波の彼方へとしずんでいった。
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