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「………は…?」
ヒーロー…今の彼には、見たくも無いし聞きたくもない単語だった。
なぜなら………
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「大丈夫!ぼくは君を守る!!」
「なんだこいつ?やっちまえー!!」
…小さい頃の記憶
あの時、俺はヒーローというのに憧れていた。
小さい頃によくある真似事…
だが………あの時取っ組み合いの途中、ちょっと目を離した隙に、守ろうとした女の子に一人の男の子襲い掛かり…頭を思いっきり殴られてしまった。
しかも、当たりが悪かった。
地面にも頭をぶつけ、血を流して倒れてしまった。
幸い命に別状は無く、奇跡的に無傷だったが…心に傷を負ってしまったようだった。
俺は今でも覚えている。
いつもふざけている親父が滅多に見せない、怒った顔。
「別にヒーローに憧れるのはいい、だがな、軽はずみな行動でこういう事態になる時があるんだ」
聞いた話によると、襲い掛かった男の子達は全員女の子に謝ったそうだ。
俺も謝りに行こうとしたが…引っ越してしまったそうだ。
名前は“マリ”といのは覚えている。
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「………嫌な記憶思い出しちまったぜ…」
あれ以来、俺は『ヒーロー』への思いは薄れていった。
「………。」
手紙にはまだ先があった。
『これから先、大変な事件が多く起きる事になるだろう。
人々が危険な目にあうかもしれない。
君の過去には深い傷があるのは知っている。
だが、また同じ事を繰り返すつもりか?
もし、またあの時のように、君の友達や、君の大切な人に何かあったら………
人は、辛い過去を乗り越えて、強くなる。
君が、「本物のヒーロー」になるのを、祈っている。』
ここで、終わっていた。
「………」
手紙を置く。
また、あの時の事が脳裏に現れる。
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