第1話

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    「………は…?」 ヒーロー…今の彼には、見たくも無いし聞きたくもない単語だった。 なぜなら……… ------------- 「大丈夫!ぼくは君を守る!!」 「なんだこいつ?やっちまえー!!」 …小さい頃の記憶 あの時、俺はヒーローというのに憧れていた。 小さい頃によくある真似事… だが………あの時取っ組み合いの途中、ちょっと目を離した隙に、守ろうとした女の子に一人の男の子襲い掛かり…頭を思いっきり殴られてしまった。 しかも、当たりが悪かった。 地面にも頭をぶつけ、血を流して倒れてしまった。 幸い命に別状は無く、奇跡的に無傷だったが…心に傷を負ってしまったようだった。 俺は今でも覚えている。 いつもふざけている親父が滅多に見せない、怒った顔。 「別にヒーローに憧れるのはいい、だがな、軽はずみな行動でこういう事態になる時があるんだ」 聞いた話によると、襲い掛かった男の子達は全員女の子に謝ったそうだ。 俺も謝りに行こうとしたが…引っ越してしまったそうだ。 名前は“マリ”といのは覚えている。  ------------- 「………嫌な記憶思い出しちまったぜ…」 あれ以来、俺は『ヒーロー』への思いは薄れていった。 「………。」 手紙にはまだ先があった。 『これから先、大変な事件が多く起きる事になるだろう。 人々が危険な目にあうかもしれない。 君の過去には深い傷があるのは知っている。 だが、また同じ事を繰り返すつもりか? もし、またあの時のように、君の友達や、君の大切な人に何かあったら……… 人は、辛い過去を乗り越えて、強くなる。 君が、「本物のヒーロー」になるのを、祈っている。』 ここで、終わっていた。 「………」 手紙を置く。 また、あの時の事が脳裏に現れる。
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