プロローグ 

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 --『アーク』。  科学と魔術、人と魔物が共に在る異世界の名だ。  その面積の多くを、青く清浄な海原が占め、残りをいくつかの大陸と、大小様々な島々が形成している。  その中に『ドライア大陸』と呼ばれるものがある。  その地の六割は未だ拓かれておらず、生態系も詳しくわかっていない。  が、ただ一つ、確実にわかっていることがある。  このドライア大陸には、手付かずの資源が大量に埋蔵されている。ということだ。  それに目を付けたのは、アークの中でも強大な力を持つ二つの国だ。  両国は、競い合うようにドライア大陸へ人を送り、少しでも多く資源を得ようと躍起になった。  それが結果的に、この地を戦場としてしまった。    が、その戦争を利用し、力をつけた勢力がある。  それは、開戦前、この地に降り立った両国の開拓者たちと、その子孫によって創られた、言わば『開拓者村』だ。  彼らは村にギルドを作り、両陣営から様々な依頼を受ける商売を確立した。  ――『傭兵』の登場である。  それは、開拓者村に金の巡りを産み、小さかった村は徐々に発展した。  結果、野望や希望を持つ者たちはこぞって開拓者村に移住し、開戦から五年ともなれば、ただの集落でしなかった村は、力ある街になったのだ。  開戦から六十年たった今、ギルドは数を増やし、街はいつしか『ギルド・タウン』と呼ばれるようになった。  同業が増えたため派閥争いが起こるようになってしまったが、ギルド・タウンの力はいまだ衰えるところを知らない。  そして、ギルド・タウンの歴史に、今、新たな一ページが加わろうとしていた。
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