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ランスロットがこの依頼を蹴ったのには、当然理由がある。
彼が戦うとなると、何かと出費がかさむからだ。
手持ちも少なく、報酬金が五万では、赤確定。
ゆえに蹴ったと言うわけだ。
すると、スティアが高圧的な態度で言い返してきた。
「あらぁ、いいのかしら? 依頼主は『五万は前払い、後は歩合制で報酬上乗せ』って言ってきてるんだけど?」
「よし、乗った。早く五万よこせ」
これまた即答で切り返すランスロット。
なんともゲンキンな男である。
「ありがと。これが前金の五万よ。受け取った以上はやり遂げてね」
満面の笑みを浮かべて金の入った袋をテーブルに置き、スティアは玄関へと向かった。
「いい、キチンとやりとげなさい。でないと……わかってるわよね~?」
含みのある笑みと言葉を残し、家を出て行くスティア。
彼女がああいう言い方をするときは、真面目にやらないと痛い目を見る。
それをイヤと言うほどに知っているランスロットは、早速リビングの隅にあるクローゼットとキャストを開いた。
部屋着を適当にクローゼットへ放り込み、白いシャツと黒いジーンズを身につけ、最後にダークグレーの革製ロングジャケットを着込む。
次に、キャストの中から黒いバトルブーツを取り出し、しっかりと穿く。
このバトルブーツの靴底には厚い鉄板が仕込まれており、魔物の骨くらいなら容易く踏み砕くことができる。
一通り着替えが終わったところで顔を洗ったり寝グセを整え、最後に、キャストからガントレットを取り出した。
右手用のみのそれは、下腕部全体をカバーできるもので、その上面には回転式の弾倉のような機構がある。
これは、一般的に銃拳(ガンナックル)という格闘武器であり、彼の物は、その中でも重銃拳(マグナ・ガンナックル)と呼ばれる大火力『兵装』だ。
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