プロローグ 

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 ランスロットは銃拳の弾倉を展開して装填数を確認した。  六連装の弾倉に空きはない。完璧である。  ――まぁ、戦いが終わるごとに必ずリロードしているため、当然といえば当然なのだが。  彼は更にキャストの中をまさぐり、炸薬と弾倉を複数取り出して、専用の弾倉ベルトに差し込んで、それを肩にかけてやった。  これで準備万端。あとは現地に行って暴れるだけだ。 「さぁて……。ド派手にいこうか!」  至極楽しそうな、不敵の笑みを浮かべ、ランスロットは一路、グラススケイル平原を目指した。  ―――――― 「はい、これで登録終わったわよ」  同日の昼下がり。ギルド『ノルト・ステルン』で、また新たな傭兵が誕生した。  スティアは、嬉しいような、心配なような、複雑な表情で手渡された誌面を見つめる。 「六年前から、ずっと傭兵になりたいって言ってたけど、これでとりあえず一段落ね。リリィ」  スティアは、正面に姿勢正しく座る少女に優しく言葉をかけた。 「ありがとう、スティア義姉さん。それにごめんなさい。私、どうしても諦められなくて……」  リリィと呼ばれた少女は、申し訳なさそうに応えた。  肩口まであるライトブルーの髪は、陽光を照り返すかの如く煌めき、ダークブルーの瞳には深い光が灯る。  今年十八になったばかりのため、顔立ちは幼さを残しているものの整っていて、容姿端麗を体現しているかのようだ。  リリィはスティアを『義姉』と呼んでいる。  それは、幼少の頃、リリィがある理由で孤児になった時、スティアの両親に保護され、姉妹同然に育てられたためだ。  リリィは今、ドレスメイルと呼ばれる女性用の鎧と鉢金を身に纏っている。  要所を守る構造になっているドレスメイルのため、重武装とまでは行かないが、これが結構物々しい。
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