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そろそろ時間だということで、皆席を立つ。真琴先輩と中野先生は授業があるので教室に向かい、俺と母、理事長は昇降口へと向かう。
理事長が検査に同行する訳は、こういった異常事態に対し学校側を代表して同行し、学校側に問題があったのか確認をするためだそうだ。
これから検査を行う南雲第三病院は、この街で二番目に大きい病院だ。第三病院なのにね。
それは置いといて理事長が手配したという車が、見るからに高級車だったので緊張して落ち着かなかった。
そんな状態を見透かされたのか、同行している母と理事長に笑われ、俺は赤面する羽目に。
赤くなった顔を落ち着かせるため病院に着くまでの間、外の景色を眺めることにしよう。
ふと思う。佳祐や他の友達には女になってしまったことを、まだ伝えていない。包み隠さず言うつもりだが…どういう反応をするのか想像したくない。次は先輩の時のようにはいかないかもしれないから。
…いやいや悪い方向に考えては駄目だ。あいつらなら分かってくれるはず。
次第に病院が見え始めた。相変わらずでかい建物だな。そういえば病院に来るのはいつ以来だろうか。怪我や病気とか、あまり無いほうだから病院に行くことはめったに無い。
車が交差点から病院の敷地内に入ると、係員らしき人の誘導に従い送迎レーンへと進む。
車が送迎レーンに入り停車すると、理事長が運転手に何か耳打ちする様子を横目に先に車から降りた。最後に理事長が降りると車は送迎レーンから出て病院の駐車場へと向かっていった。
車から降りた理事長は母に何か伝えると、携帯電話を取り出し誰かに電話し始めた。
母「優希、先に入るわよ」
理事長から視線を移す。
自動ドアに向かって歩いていた母が立ち止まると振り向き俺に向かって言った。
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