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その反応が面白いのか、はたまた快なのか、なんとも言えない微笑みで、繭月が答える。
「子がお生まれになれば二ヶ月の間にこの世から去ることになりましょうから」
「……なるほど」
そう答えるのがやっとであった。
繭月は優良な官僚一族の出身であったが、先代の公主の時に政争に敗れてしまい一部を除いて族滅の浮き目にあっている。
しかし破れたりとはいえ、そこは何十何百もの家を踏み台にしてきた古家、残された一部の人間と彼らに仕えていた恩義も利益も分かつ有象無象の者達が歴史から消え去ろうとしていた繭月の家を見事復興させたのだ。
それどころか次代の公主である自分の正妻にと推挙し、また公家がそれを認めざるを得ないほどに勢力を回復させてしまっている。
だから……なればこそ……か。
かつて亡滅しかけた危機ゆえか、一族の危機になる可能性になるものは即座に排除する。
つまり正妻である繭月との間に男子が産まれるまでは他の女に子を産ませることは見逃せないということだ。
「なんとも無慈悲な話ではないか」
公主の言葉に、
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