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「話変えるな。うーんと……じゃあお前がここに来た理由とか聞いてもいい?」  タイミングよくトシの首の力が抜け、こてんと前に倒れる。それを肯定ととったのかマキは嬉しそうに頷くと質問を続けた。 「仕事しに来たのか?」  男の言葉にトシは唸った。本人は「はい」と発声しているつもりらしいが男には伝わらなかったようだ。「違うのか?」と再度問われ、トシは違わないと答えるために首を横に振った。 「やっぱりな。ここ、山の中だから討伐や狩猟関係のクエストも多くてさ。しかもほら、麓なんかはレベル上げに最適なやつらがいるし結構溜まり場になってんだよね。そういう勇気ある若者たちの。まあ中にはおっさんっていっても差し支えないような年のやつもいるけどさ」 「おっさんって誰のこと? マキちゃん」 「自意識過剰っすよ、トキちゃん」  きっと睨みつけてくるトキワの形相にマキは肩を竦めた。 「次おっさんって言ったら承知しないわよ」 「だから自意識過剰だっての。それよりクエスト挑戦希望のお客さん、契約取り付けなくていいのかよ」  マキは鬱陶しげに酒を呷りながらトシを指し示す。トキワの鋭い視線を受け、一瞬体が竦みあがるトシ。しかしそんな彼の反応には頓着せず、トキワは相好を崩すとぱちりと手を打ち鳴らす。 「あら。あなたお仕事したいの?」 「ええ。そのためにも山を越えてきたんです」  とトシは言ったつもりだったがタオとタオの友人には何を言っているのか聞き取れなかったらしい。二人とも怪訝な表情でトシを見つめる。しかしさすが酒場の主人といったところか、酔っぱらいの言葉も違わずに聞き取ったトキワは躊躇うことなく話を進める。 「剣に覚えがあるって言ってたわね。てことは剣士でいいのかしら? 仕事もそっちの方を依頼して大丈夫?」 「はい」 「じゃあちょうどいいわ。タオ、一緒に行ってらっしゃいな」  急に矛先を向けられ、タオが驚いた顔でトキワを見た。
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